トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男

トム・ダウド。
そう、トム・ダウド。
彼の名を知る人は世界中にどれほどいるのだろうか?
音楽が好きでロックが好きなら彼が何者かよくわからぬまま記憶の奥底に葬ってはいけない。
彼が音楽業界に起こした奇跡は忘れようにも忘れられないのだ。
それはすでにロックを聴いている者の耳に、脳に、すでにすり込まれているから。
そして知らないうちに彼の関わった作品を絶対に聴いているから。
自分の持っているアルバムに「 TOM DOWD 」のクレジットがあることに気が付いたのは熱心にオールマン・ブラザーズ・バンドを聴き始めた浪人生だった19の頃。
そのあとも気が付けばいろんなアルバムに彼の名前をみつけることができた。
彼の関わった何枚もの名盤が、何年も経った今でも僕の心を惹きつけて止まない。
それはこれから先何十年経ったって僕の中では何ら変わらない永遠の真実。
この映画は彼の意外な過去や彼の歴史を紐解いていくドキュメントとなっている。
様々なアーチスト達が語るトム・ダウドの素晴らしい人間力。
実は優れたミュージシャンであったがゆえに仲間から信頼される音楽家としての演奏力。
誰よりも音楽的知識が深く、鋭い耳を持った音楽力。
皆が語る彼はとんでもない天才。
そしてこの映画ではまるでロックの教科書のような映像がたくさん盛り込まれています。
もちろん動くデュアンも。
そして彼はあの奇跡の日をカメラに向かって話しだす。
クラプトンとデュアンの出会い。
この映画の邦題でもある「いとしのレイラをミックス」した時の裏話を語る時のトムはまるで昨日のことのように語り出すのだ。
彼の人生においてもまたとない奇跡が起こった日のことを。
そしてこの映画のハイライトであろう、トムがミキサーの前に座ってLAYLAを再びミックスしている時の彼の嬉しそうな表情はこれでフィルムに永遠に残ることになったのだ。
「これがクラプトンのパート、これがデュアンのパート。これをミックスさせると・・・」などと呟きながら。
この姿を見て涙がこぼれそうに。。。
それにしてもここまで音楽業界を常にリードし、技術革新していたのが彼だったと今まで知らなかったことが妙に恥ずかしい。
彼はピアノをほんとうに愛していたらしい。
最後はトムの素晴らしいピアノでこの映画は幕を下ろす。
素晴らしいドキュメントでした。
家に帰ってからまず何を聴いたかって?
決まってる、でしょ?



